地質学者として大学の教壇に立った著者は、多くの学生が、高校の自然科学4教科、地学・物理学・化学・生物学のうちの二つくらいしか履修していないことに気付いた。しかし、自然科学のさまざまな分野を独立の学問として学ぶだけでは、その学問の意味を本当に理解することはできない。全体を見渡す「自然科学史」の視点から、個別のテーマが自然科学の発達史のなかでどんな位置にあるかを知ることが必要なのである。本書は、この4分野をそれぞれ、宇宙・地球観の歴史、物質観の歴史、技術の歴史、生命観の歴史に区分し、人間と科学・技術の歴史として描き出す。古代、どの文化圏でも、最初に生まれた科学は天文学と医学だった。古代ギリシアの自然哲学に始まったヨーロッパ科学は、中世にはアラビア人が伝統を受け継いで発展させ、シチリア島やスペインでそれらをヨーロッパに伝えた。一方、古代以来、中国の科学と技術はヨーロッパを凌いでいたが、中世末期に中国から伝来した技術を背景に、ヨーロッパにルネサンスと科学革命が起こる。やがて産業革命は蒸気機関と、さらに電気の時代を生み出していく。そして20世紀末に至り、人類は核エネルギー開発による放射能汚染と、遺伝子操作という「神の領域」に触れる難題を抱え込むようになったのである。『自然科学史入門』(1998年、東海大学出版会刊)を改題して文庫化。目次まえがき序章 科学史概観第一章 宇宙・地球観の歴史1 古代自然哲学における天文学2 ニュートンによる天体力学の完成3 二〇世紀初期までの地球観4 現代の宇宙論5 二〇世紀後半の地球観第二章 物質観の歴史1 哲学的原子論と錬金術2 科学革命と近代的原子論・分子論3 有機物質の化学4 物質の究極的構造の解明│現代物理学の誕生と発展5 二〇世紀後半の合成有機化合物第三章 技術の歴史1 技術の起源と古代の技術2 中世から近世初期の技術3 産業革命と技術の近代化4 電磁気学の発展とその応用第四章 生命観の歴史1 古代・中世の医学2 生物学の近代化3 産業革命後の生物学あとがき自然科学史年表人名索引
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