できることなら、十四歳という年齢はすっとばしてしまえるのがいい。冬に元気をなくす母親と、影の薄い善良なフィンランド人の父親を持ち、ぼくは彼らの経営する瀬戸内市の小さなリゾートホテルで暮らしていた。ある時なんの前触れもなしに、ぼくにとって唯一の友達であったソウタが姿を消した。学校に行くことをやめ、代わり映えのしない平穏な日々を過ごすぼくの生活に、少しずつ影が落ちはじめる。両親の過去、ぼくに迫るイノセントの終了刻限。ぼくを助け、ぼくを置き去りにする人たち。混乱と諦め。安心感と引き換えに手に入れる自由。否応なしに進んでいく時間のこと。
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