隠元の黄檗派はいかにして“黄檗宗"へと至ったのか。 隠元隆琦の渡来とその系譜に連なる黄檗派教団の展開、そして近代の黄檗宗公称を経て現在まで続く360年余りに及ぶ長い歴史を、教団の展開に大きく関与した妙心寺派、後水尾天皇・徳川家綱をはじめとする権力者たちなどとの関係にも注目しつつ、禅宗史研究の第一人者が網羅的に描く。 日本史学の手法によって黄檗宗の展開過程を考察し、基礎的な情報を提供する初の本格的な黄檗宗通史! 付録に黄檗宗の歴史をまとめた略年表を収録。 【本書の内容】 はしがき 序 第一編 日本時代の隠元 第一章 近世の渡来僧と史料 第二章 道者超元の渡来と活動 第三章 長崎滞留期の隠元 第四章 黄檗派の成立 第二編 黄檗派の展開 第一章 黄檗山住持と幕府 第二章 草創五十年の展開 第三章 末寺帳と派勢 第四章 長崎の唐寺 第五章 黄檗僧の活動と文化 第六章 近現代の展開 付録 略年表 あとがき 人名索引 **************** 日本史を紐解くとき、仏教と共に歩んだのが日本の歴史であったことは、誰しもが感じるところであろう。(中略)ここでは、日本における隠元とその開宗教団について、近世期の二百十余年間を主に、明治・大正・昭和・平成期の一五〇年余を視野に入れ、また、その展開に関わりをもった妙心寺派に目配りしながら少しく切り口を変えて、史的視点で三六〇年余の歩みをうかがい、黄檗宗の一通史になればと思っている。(本書「はしがき」より)
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